カルエル・アルバス
本作の主人公。物語開始時点では15歳。本名はカール・ラ・イールで、バレステロス皇国の皇太子として生まれ育った。しかし9歳のとき、「風の革命」によって両親とその地位を失う。監獄で1か月を過ごした後、ミハエル・アルバス一家に引き取られ、名前を変えて平民として暮らしていた。
その後、共和国折衷派の提案によってイスラへ移住し、カドケス高等学校飛空科センテジュアル組の生徒となる。そこでクレアと出会い、互いに強く惹かれ合っていく。誕生日は6月6日で、義妹のアリエルより1日年上である。
革命によって処刑された母マリアを失った悲しみと正面から向き合えず、その痛みから目を背けるために、母へ屈辱を与えたニナ・ヴィエントへの復讐心を捨て切れずにいる。そのため、作中では何度も発作のようによみがえる憎悪の感情に苦しめられている。
彼は善良でありながらも未熟で、成長の余地を残した人物として描かれている。金髪碧眼の美少年で、義理の姉妹たちに囲まれて育ったため女性への接し方には慣れている。しかし、予想外の事態に直面すると冷静さを失って取り乱してしまう臆病な一面や、現実とかけ離れた理想像を本来の自分だと思い込むような自己愛的な性格、さらには貴族時代の特権意識や裕福な暮らしへの未練を完全には捨てられないといった欠点も抱えている。アリエルからは「ヘタレマザコンナルシスト」と評されている。
一方で、貴族時代に身につけた自転車整備や乗馬、洗練された立ち居振る舞いといった技能に加え、自身の辛い経験からクレアの複雑な境遇を察することができる感受性も持っている。こうした資質は、クレアとの距離を縮めるきっかけとなった。
もともとイスラへ来た動機は復讐だったが、飛空士になりたいという夢もまた彼の本心であった。飛空科の仲間たちとの交流や、臆病な自分を乗り越えてクレアに格好良い姿を見せようと努力を重ねる中で、次第にイスラへの愛着や仲間を大切に思う気持ちを育んでいく。